影響要因分析では、商品やサービスの構成要素について、総合評価に影響を与える重要項目を、総合評価との相関係数で一律に比較して捉えます。しかし、総合評価や総合満足度を左右する個別要因項目（個々の商品機能やサービス項目）には、ポジティブに働く要因とネガティブに働く要因があります。
ポジティブ要因とは、評価が低くても問題ないが、高いと総合評価を一気に高める要因です。「あると嬉しい」機能や特徴で、その商品の十分条件です。逆に、評価が少し低いだけで総合評価を下げる要因があります。これがネガティブ要因です。「ないと困る」機能や特徴で、その商品の必要条件です。一般的に、商品の基本機能はポジティブ要因に、商品のサイズや形状条件、価格はネガティブ要因になります。（右図参照）
市場に受け入れられるためには、日用雑貨や白物家電など生活必需品では比較的ネガティブ要因項目が重要（ネガ型商品）に、嗜好性が高い菓子、ＡＶ家電、ゲームなど商品の場合は、ポジティブ要因項目が重要に（ポジ型商品）なります。
但し、携帯電話のように、遊技的付加価値を重視する人と実用性を重視する人とが混在する場合もあり、このような場合はユーザーの違いを考慮する必要があります。
一般に、普及に伴い、ポジ型商品からネガ型商品に移行しますが、新技術商品投入により、ネガ型商品をポジ型商品に変える事例も少なくありません。近年、白物家電は技術革新によりポジティブ要因の競争となっています。また、大型液晶テレビはネガ型商品となってきました。今後、３Ｄテレビによりポジ型商品になるかもしれません。

調査と分析の基本手順

質問は、影響要因分析の場合と同じです。購入意向や総合満足度のような総合評価の質問（５段階評価や１０点満点など）と、複数の商品特徴やサービス項目についての評価項目群（５段階評価や１０点満点などの表組み質問）です。
分析は、各評価項目ごとに、次の手順で計算し、二次元マップ上プロットします。

1. 総合評価の平均値を計算。（総合評価の全体平均値）
2. 評価項目ごとに、平均値を計算。（個別項目の全体平均値）
3. 評価項目ごとに、良い評価のサンプルと悪い評価のサンブルに分類。　（５段階評価や７段階評価の中央値はどちらにも含めない）
4. 良い評価のサンプルについて、下記の計算を行い、ポジティブ影響度とする。
5. 同様に、悪い評価のサンプルについて計算し、ネガティブ影響度とする。
6. ポジティブ影響度を縦軸に、ネガティブ影響度を横軸にした二次元マップ上に、各評価項目をプロットする。